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小説『ドグラ・マグラ』 男女の絆と遺伝子の悲劇

投稿日:2019-07-09 更新日:

僕には生まれた時から心臓疾患がある。

兄夫婦の間に生まれた姪っ子にも生まれた時から脳性麻痺の疾患があった。

人が何らかの障害を持って生まれて来る理由として、環境的要因であるとか、確率的な結果であるとか、スピリチュアル的な見解ではカルマ(前世の業)などの説がある。

僕個人としては別にそれでもいいけど、生んだ側の人間が自己の責任回避でそれらの説に納得している態度を見ると、「本当の原因は他にあるよ」と言いたくなる。

僕は人間が障害を持って生まれて来る原因は、生命の誕生に関わる男女、あるいは雄と雌の意志(絆)の強度に関係すると思っている。

生命誕生を担う男女、雌雄のペアが、性交時、受精時、出産時をどんな心境で迎えるか?

どんな意志を持って新たな生命の誕生に臨むか?

次世代が強い個体として生まれるか否かは、その意志(絆)によって決まるという説を唱えたい。

男女、雌雄のペアの絆が、次に生まれて来る生命の遺伝子情報に祝福と呪詛を与え、その結果が次世代の心身に反映される。

祝福を受けた遺伝子は強い個体としての生を受け、呪詛を受けた遺伝子は傷がついた状態で生を受けるのだ。

例えばDVDのデータをコピーしたりダウンロードしたりする時、元のデータやその過程に不具合があれば、コピーやダウンロードした側の映像や音声データにも狂いが生じる。

それと同じく、男女、雌雄のペアの性交時、受精時、出産時に、心身に何らかの不具合や不安があれば、それを受け継ぐ次世代の遺伝子情報にも当然不具合が出るだろう、という考えだ。

信頼関係のない男女のセックス、将来に対する不安、親になる事への自信の無さや揺らぎ、社会に対する不信など。

そういう心理状態でセックスや出産に望めば、次世代に悪い影響が出てもおかしくないと思うのだ。

生物の本能を考えれば、たとえこの地球環境がどんなに酷いものであろうと、全ての生物は自分たちの種が強く生き残り、より優秀な子孫を残して種を繁殖させようという欲求を持っているはずだ。

しかし社会システムを構築して、それに依存しないと生きていけなくなった僕たち現代人は、その生物的本能が常に抑圧され、強い種を残したいという決意と意志が弱くなったと思う。

その結果、種のデータ保存に何らかのエラーが出やすい状態になっている。

人類の長い歴史を見ると、社会がどれだけ変化しても、人間が望む事や、その営み自体はそんなに変化していない事がわかる。

事件、事故、犯罪を含めたあらゆる社会問題は、社会システムが総括し切れない人間の本能的な部分によって起こるものだと僕は思う。

男と女、雌と雄が互いの優れた面をプラスし合って、なおかつ互いの弱点を補完し合うような関係でないとペアになる意味などないのではないか?

テレビのトレンディドラマや恋愛バラエティ番組などを観て煽られている男女には、おそらく向いていない事なんだと思う。

世間体や家柄を気にして結婚したがるような男女には、おそらく向いていない事なんだと思う。

自分たちの老後の保身のために結婚したがるような男女には、おそらく向いてない事なんだと思う。

もう我々の種はダメかもしれない。次の代で終わりにしよう

そんな男女の意志の弱さを反映した遺伝子が傷つき、自暴自棄になって次の種に悲劇を起こす。

ドグラマグラ・胎児の見る夢

夢野久作が書いた小説『ドグラ・マグラ』の冒頭に「胎児よ 胎児よ なぜ躍る 母親の心がわかって おそろしいのか」という一文がある。

この小説は輪廻転生という概念に、科学的なアプローチで整合性を取ろうと試みた、とても興味深い物語だ。

夢野久作はこの小説の中で、胎児は母親から生まれて来るまでの十月十日の妊娠期間に、生命が誕生してから今日まで辿って来た進化の過程を、自分の代に至るまでの長い夢として見ているという説を唱えている。

胎児は実際母親の胎内にいる間、その形態がおたまじゃくしのような姿から、魚、両生類、原始爬虫類、哺乳類を辿って人間の形態になっていく。

これは自分の代まで繋いで来た全先祖の個体の記録と記憶が完全にコピーされ、その姿が再現されていく様子でもある。

胎児はその膨大な記録と記憶情報を夢として実際に母親の体内の中で見ているのだ。

そしてその記憶情報のどこかに不具合があったり、コピー中の母親の心身に何か異常な事態が起これば、胎児の夢見が阻害され、その心身にも異常が出る。

でも子孫を授かろうとする男女、雌雄の絆が強ければ、不具合のある記憶情報を修復する事が可能で、コピー中に起こる不測の事態にも耐える事が出来る。

僕の心臓疾患も僕が生まれる以前に、両親が何らかの不具合を起こした時に出来た遺伝の傷によるものだと思っている。

幸いなのは僕の両親も、兄夫婦も自分たちにその責任を感じ、弱い体で生まれて来た僕と姪っ子をしっかり守ってくれた事だ。

後天的にそれが僕たちにとって祝福になった。

落ちても這い上がれる強さになった。

時代や社会によっては異常だと分かった途端に間引きされたり、五体満足でも育児放棄されてしまうような子供もいる中で、これはすごくありがたい事だと思う。

それがあるから僕も環境的要因、確率、カルマを了承して、自分の心臓疾患は自己責任だと言い聞かせる事が出来る。

少子化が進む日本の現状を嘆き、子どもを産む事を社会の義務だと思っている人がいるけど、子どもを産むのは決して義務などではなく、男女の意志と本能だ。

人間、人の命は社会のリソースではない。

意志と本能で生んだからには、どんな社会だろうが育ててほしい。

社会の現状を嘆き、誰かに問題を丸投げして逃げるようなら、生まないでほしい。

大人になってから幸せになれないのは本人の自己責任でいいと思う。

でも子供時代に幸せに出来ないのは社会に依存して日和った親の責任だ。

結婚も出産も、社会など気にせず自分の決意と意志でやってほしいと思う。







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