オカルト・スピリチュアル

『オカルト原風景』祖母と幽霊

投稿日:

僕の祖母は幽霊が見える人だった。

祖母は大正生まれで、兄妹がたくさんいた。
祖母はたまに自分の兄妹やご近所の年寄りたちを家に誘って飲み会していた。
年寄りばかりの会だから、大抵みんな昔の苦労話に花を咲かせて、会が盛り上がる。
小さい頃、僕もたまに祖母の膝に座ってその会に参加し、目の前のご馳走を食べながら年寄りたちの話を聞いた。

祖母は酔いが深まると、苦労話から発展した怪談めいた話をたまにし出す。

婆ちゃんはなぁ、おしんより苦労したんだぞ

兄妹が多い大正生まれの祖母は、小さい頃から他所の家に奉公に出たりして家計を支えていた。

すっかり暗くなってから家に帰る事が多く、一人で人気のない田んぼの畦道なんかを歩いていると、時々不思議な出来事にあったり、怖い目に遭ったりしたらしい。

ある時、暗い夜道で道端のお地蔵様を通り過ぎると、後ろからずっと誰かがついて来るような気配を感じた。
怖くなった祖母が小走りで先を急ごうとすると、後ろの気配もそれに合わせてついて来る。
祖母が後ろを振り向くと、人か何か分からない真っ黒なものが道端に立っている。
祖母はその時、お地蔵様の裏に誰かが隠れていて、自分を乱暴するために追いかけて来たと思い、慌てて逃げたら、その真っ黒いものが追い付いて祖母に覆い被さって来た。
背中にずっしりと何かが乗って来て、しっかりとしがみついて離れない。
祖母が必死の抵抗で怒鳴りながら、それをなんとかふりほどくと、さっき通り過ぎたお地蔵様が祖母の足下に落ちていた。

また祖母は誰か親しい人が亡くなると、亡くなる前日の夜に祖母の枕元にその人が立っている事がよくあったらしい。
死者が別れの挨拶に来たのか、祖母が以前からなんとなくその人の死を予感して夢を見ているのは分からないけど、祖母が「今、誰々が来たぞ」と言うと、実際に次の日に電話が鳴って、その人が亡くなった事を告げられた事があった。

実家の近所の子供に不幸があり、通夜に参加した時も、祖母だけが誰もいない二階の部屋で子供が遊んでいるような足音を聞いている。

祖母は僕が三十代の時に大腸がんで亡くなり、妹の話によると、祖母が亡くなる何日か前に、祖母が「白い人たちが婆ちゃんの部屋にいっぱい入って来る!」と騒いで怖がっていた事があったらしい。

その頃東京にいた僕は、実家から祖母の容態がそろそろだという連絡を受けて実家に帰った。

地元の最寄り駅まで兄が迎えに来てくれたので、そのまま二人で祖母のいる病院へ見舞いに言った。

久しぶりに会う祖母はもうかなり衰弱していて、人工呼吸器で苦しそうに息をしている状態だったけど、耳はまだ聞こえるらしく、僕が「婆ちゃん」と声をかけたらうっすらと目を開けた。

それからしばらく一緒にいて、兄と実家に戻ったら、すぐに病院から祖母が亡くなった電話があり、そのままとんぼ返りで遺体を引き取りに行った。

東京から帰ってすぐの出来事だったから、たぶん祖母は僕が帰って来るのをずっと待ってて、僕の顔を見てから死ぬつもりだったんだな、と思った。

祖母はそんな感じでいろいろ不思議な体験をしているけど、僕がテレビで心霊番組を観ていると、決まってなぜか「幽霊なんかいない」と言っていた。

自分はいろいろ霊体験をしているのに矛盾した言い分だけど、祖母は幽霊みたいなものは見えない方がいい、信じない方がいいと言いたかったのかもしれない。

祖母はいつも孤独でどこか陰気なところがある人だったから、僕がそうならないように陰気な趣味であるオカルト的なものから、僕を遠ざけようとしたのかもしれない。







-オカルト・スピリチュアル
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

オカルト原風景 『オカルト県オカルト郡オカルト町』

僕の故郷は東北地方の山間部で、銀が取れる鉱山と宿場町から発展した迷信深い土地柄だ。 町の入り口にあたる峠を抜けると、非常に美しい風変わりな盆地が広がり、その周囲を雄大な雪山の山脈が囲んでいる。 町の中 …

人間と神と宇宙はリンクしている

人間はかつて神だった。 その神の意志が宇宙という卵を生み、その卵から人間という神の雛が孵った。 そして神の雛である人間は遠い未来でまた神になる。 中国かアメリカのどちらかが5Gの覇権を制したら、AIや …

映画『15時17分、パリ行き』明確なビジョンに起こる運命

あらすじ 2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせ …

食べ物にも記憶がある

僕は食料品を買う時、必ず原材料表示をチェックする。 不食を実践したくて断食などをするようになってから、僕は自分の食べた物が自分の体や精神にどんな影響を与えるか多少分かるようになった。 食品添加物、砂糖 …

自助努力のために他力本願する

僕はあまり人に期待しないし、頼らない方だと思う。 悩みや問題があっても、人に相談したりはせず、まずは自分で考える。 解決策が思いつかなくても、ふと興味がある本や気になる映画などを観て、そこから問題解決 …

祐喜代(sukekiyo)

PROFILE

PROFILE

祐喜代(SUKEKIYO)

大阪在住

社会に属しながら世捨て人として人生を謳歌するために、思索と創作表現などをしています。

ART、写真、小説を掲載しているHPはこちら↓

ART、写真、小説を掲載しているHPはこちら↓

嗤う狐の藝術

祐喜代『星空文庫』ページ

嗤う狐のYOUTUBEチャンネルはこちら↓

ネットSHOP

SUKEKIYOオリジナルアートSHOP

『AMS』はこちら↓

https://ams.base.shop/

 

スポンサーリンク