芸術

アニメ『鉄コン筋クリート』アニメで一番好きな街

投稿日:2021-06-16 更新日:

あらすじ

昔ながらの義理と人情が支配する街“宝町”を拠点に、何ものにも支配されずに自由に飛び回る“ネコ”と呼ばれるふたりの少年クロとシロ。彼らは誰よりも街を知り尽くしていたが、その愛する宝町に再開発と呼ばれる変革の荒波が迫ってくる。その影響でヤクザと暴力といった“退廃”が同時に街に押し寄せてしまい……。

監督:マイケル・アリアス 

キャスト:二宮和也 蒼井優

松本大洋原作の『アニメ』

松本大洋の漫画はすごく好きで、画に惚れて読み始めた。

STUDIO 4℃が手掛ける緻密なアニメ画もすごく良い。

僕は漫画もアニメもストーリーよりも画を重視していて、画が気に入らないと、その物語の舞台と世界観に興味を失ってしまう。

物語の世界観に興味がないと、そこに登場する人物たちに起こる出来事や心情にも無関心になってしまい、物語に没入する事が出来ない。

画が持つ情報から汲み取れる世界観が魅力的であれば、ストーリーがありきたりだったりしても、想像力が広がって、物語には描かれていない人間ドラマも見えてくる。

『鉄コン筋クリート』の舞台である「宝町」の世界観は、僕が現在住んでいる大阪によく似ていると思った。

道頓堀沿いに建っている飲食ビルの雑多な感じと、通天閣をランドマークにした新世界の活気をミックスして、サーカスとかテーマパークみたいな装いを盛り込んだ、華やかな景観。

金と暴力の匂いを隠さない、そのハリボテの華やかさの中に、スラム街や高度経済成長期の昭和にあるような、貧しいけどどこか陽気な暮らしぶりが混在していて、すごくバイタリティーを感じる。

宝町は自分の欲望に忠実で、自分だけの掟やルールがあり、自分を見失わない者が勝者として幅を利かせる事が出来る街。

クロとシロが繰り広げるバトルで俯瞰される宝町の隅々が、とにかく観ていて愉しい。

孤児でもホームレスでもヤクザでもいいから、宝町に住みたい!

そう思った。

僕は都心や繁華街の擦れた感じとか殺伐とした雰囲気が苦手で、今まで一度も住んだ事がなかった。

都心から離れた静かな郊外の街じゃないと気持ちが落ち着かない。

去年の12月くらいから道頓堀に部屋を借りて、週末だけ過ごすようになったけど、まだ繁華街の空気が肌に合わない。

ずっといたら自分の性質がすっかり変わってしまうような気がする。

そう思う反面、早く引っ越して街の色に染まってみたいとも思う。

染まり切ってこれまでとはまったく違う性質になったらそれはそれで面白いかもしれない。

これから難波界隈の都市開発に中国資本がどんどん入って来そうな気がするから、ビリケンさんっぽい顔をした中国マフィアの蛇みたいなヤツも難波を仕切るようになったりして、現実的に難波の街が『鉄コン筋クリート』の宝町みたいな展開になる可能性だってあるかもしれない。

街に染まるのか、染まらないのか?

僕はどっちだろう?

宝町で孤児になったクロとシロは、宝町のヤクザやギャング、マフィアと渡り合えるほど、どっちも逞しい。

クロは街に染まった人間の強さを感じさせ、シロは街に染まらない強さを感じさせる。

クロは面倒見が良くて責任感が強く、子供にしてはすごく理性的だけど、街に染まり切っているからきっと宝町でしか生きていけない。

シロは天真爛漫で無邪気。すごく愛嬌があって子供らしく、感情が豊かだ。

純粋で無防備だから、宝町ではクロが守ってやらないと生きていけない。

でも街に染まってないから、宝町以外の街でもきっと生きていける。

街はそこに住む者たちのそれぞれの思惑が独り歩きした生き物みたいなものだと僕は思う。

欲深く、懐の広い宝町をまるで自分たちの遊び場みたいに横無尽に飛び回り、圧倒的な存在感を見せつけていたクロとシロ。

お前らはこの街で大人になれるのか?

その存在意義を急激に変わろうとする宝町が問う。

独り歩きした宝町という生き物に翻弄され、一方は深い闇を覗いて暴走し、もう一方は心が空虚になって保護される。

新興勢力によって街の性質が変わろうとする時、クロとシロのコンビのバランスも崩れたように思った。

人間の性質は善と悪、黒か白かで単純に理解出来るものではなく、善と悪、黒と白の間には無限のグラデーションがある。

子供のままでは生きていけない。

コンビの依存を離れ、お互いが自立して生きていくためには清濁併せ呑む大人になる必要がある。

二人は宝町を出たんだろうか?

二人は大人になれるんだろうか?

ラストの解釈は難解だけど、このアニメは宝町という街の魅力だけで十分に見応えがあると思う。

宝町は僕がこれまで観たアニメの中で一番好きな街。







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