エッセイ

繁華街の心象風景

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僕はスナック、キャバクラ、ガールズBAR、コンカフェなどのお店によく行く。

いわゆる水商売系。

行く理由としては、そこで魅力的な異性と出会って恋愛がしたいからだ。

大人になってからの夜の過ごし方なんて、お酒を飲むくらいしかない。

友達や知り合いと居酒屋に行くか、一人で繁華街を飲み歩く。

僕は恐れ回避型の愛着スタイルから来る対人不安があるから、人と会う時はお酒が入るとリラックス出来て助かる。

そんな僕にとってお水の世界は、お酒の力を借りて女性と手軽に出会える、恋愛市場のメインだ。

とは言っても、これまでお水の世界で働いている女性と交際した事はなく、ある程度仲良くなってプライベートで遊んだりする程度でいつも終わる。

そのくらいが恐れ回避型の僕にとっては都合の良い交遊なのかもしれない。

出来れば恋人関係になって親密な繋がりを長く持ちたい気持ちもあるけど、お水の世界に出会いを求めると、とにかくお金がかかるので、自分の経済事情の許す範囲でしかお店通いが出来ない。

一晩限りの関係を求めて何十万、何百万も使ったりする人の話も聞くから、健全な恋愛市場でない事は十分承知しているけど、独り身の寂しさだったり、一時の愛欲を満たすには、お水の世界ほど手っ取り早くそのニーズを満たせる場所はない。

お金で異性と親密になるための時間とお酒を買って、束の間幸福な夢を見る。

お水の世界は基本的に嘘が罷り通る疑似恋愛な空間だけど、全てが嘘というわけでもなく、本音が垣間見えたりする時もあったり、巡り合わせ次第である時から嘘が本当になったりもする。

大半の大人は生活のためにやりたくもない仕事について、毎日耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶような生活を送っている。

欲しがりません!勝つまでは!

そんな覚悟もなく渋々働いて、ようやく解放された週末には、無味乾燥とした日常の鬱憤を晴らすように繁華街へ出かけ、とことん飲み散らかす。

瞬間的には心底楽しいんだろうけど、それが明けた次の日は心底虚しかったりもする。

僕もそうだけど「みんななんでそんなにいっぱいお酒を飲むんだろう?その先に何か確かなものはあるの?」って、いつも思う。

煽った、煽られた」と、みんなで楽しむワイワイガヤガヤとした空気にヤケクソ気味に同調して、明日を捨てるようにとことん飲み比べする姿を、一人蚊帳の外から不思議そうに眺め、嘘っぽい表面的なキラキラと本音がちらつく内面的なドロドロを凝視しながら、人間についての何かを学ぶ。

僕にとってのお水の世界はそういう場所。

小さい頃祖母に連れられて実家の近所のスナックによく行ってたからかもしれないけど、昔から酔って我を失ってしまう人たちに親しみを感じる反面、「僕はなりたくないな」みたいな嫌悪感もあったりして、それでも結局自分も酔って我を失う。

夢と現実のギャップに耐えられなくなった人たちによるトラブルが起きる事も多々あるけど、僕はそういうネガティブな人間模様も含めて、お水の世界をこれまで楽しんで来た。

去年から難波の方に部屋を借りて住むようになり、もっと繁華街が身近になったせいか、この一見華々しくて賑やかな世界の不穏で殺伐とした空気みたいなものをより強く感じるようになった。

朝方、近所を散歩していると、夜通し飲み明かした人たちがふらふらと歩いている。

植え込みに倒れて眠りこけている人もいる。

お酒と異性への接触で大量のドーパミンを出して夢の世界へ行っていた人たちが、現実の朝を迎えて胃のムカつきや頭痛に悩まされながら、死んだように呆けている光景がいっぱい。

昨日はスゴかったね、マジやばかった!

そんな言葉を口にして笑いながら、目は虚ろに朝日を拒んで俯いている。

高そうなスーツをヨレヨレにして、ふらふらとタワーマンションに帰って行くホストの姿を追いかけて、「あなたたちがこのマンションでどんな贅沢な暮らしをしているかわからないけど、毎日身も心もボロボロにしてまで維持したい暮らしですか?」と、訊いてみたくなる。

僕もお金は当然欲しいけど、僕よりお金をたくさん持っている人たちの幸福そうでない姿を見ると、生活に不安がなければ今のままでも十分だと思う。

俺たちにしか見れない景色がある!」

普段そんな感じで威勢の良い看板を掲げて頑張っている彼らの本音には、世間一般に対するどこか後ろめたい気持ちもあって、夜行性のドラキュラみたいにお天道様を直視出来ない脆さがある。

お金もあって、仲間もいて、恋人もいるなら、とっとと抜け出して幸せになればいいのなぁ、と思う。

それが出来ない事情や心情は何だ?

戦場や地獄でも、慣れ親しんだ場所には容易に離れられない磁場があるのか?

僕は僕で家庭的なものに飢えているから、「温かい場所ってどこにあるんだろう?」とか「温かい場所ってどうやったら作れるんだろう?」みたいな事を常々考えながら、街をほっつき歩いている。

朝方の繁華街はゴミだらけ、ゲロだらけ、犬のフンだらけでとにかく汚ない。

欲望と快楽の代償として吐き出されたこれらの汚物を見ていると、不健全な街で健全に生きるのはすごく難しいんだろうな、と思う。

僕もこの不健全な街になぜだか引っ越して来たから、前より少しでもまともに健全に生きてみたい。

それだけ。

いつも読んでくれてありがとう!







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