哲学・思想

僕と犯罪者の境界線

投稿日:2018-04-11 更新日:

神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇(元少年A)が書いた『絶歌』と、英会話講師リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害した市橋達也が書いた『逮捕されるまで』を読んだ。

僕は犯罪者にすごく興味があって、彼ら自身が証言する事件前後の思考や行動、家庭環境や学校、地域の環境、社会に対してどんな思いを持っているか?などを知りたい。

そして僕と共通する部分や、僕と決定的に違うところは何か?を常に探している。

酒鬼薔薇(元少年A)との共通点

彼と僕の共通点は、ごく普通の家庭環境、心臓疾患による不整脈、お祖母ちゃん子などがある。

共に芸術に関心があり、彼のHPに掲載されているラフ画がどことなく僕の作品にも似ていたりした。

また『絶歌』の中には彼もコラージュ作品を作っていたという記述があり、同じくコラージュの作品創作が好きな僕と重なる。

市橋達也との共通点

市橋達也との共通点は、彼の逃走経路が、僕が放浪した時に訪れた場所や経路と一致する事が多く、逃走中の行動なども何故か良く似ていた。

僕がお遍路さんをしていた時に四国の人に聞いた「逃亡中の犯罪者がお遍路さんのふりをしていた」という話も、『逮捕されるまで』を読んだ時、市橋の事だと分かった。

彼らと僕のはっきりした違いは、人を殺した事があるかないかくらいだ。

僕と犯罪者である彼らは紙一重のところで、あっち側の人間とこっち側の人間に分かれている。

人生は何があるか分からないので、今後も100%僕が殺人の罪を犯さないとは断言出来ないけど、おそらくないと思う。

ただ世間を騒がせる大きな事件が起きると、僕はいつも被害者よりも加害者の方が気になってしまう。

彼らの犯行の裏側には、僕が抱えていた闇と似たものがあるような気がして、事件とはまったく無関係の身でありながら、一連のニュース報道を見る度に共犯意識のようなものが芽生えて後ろめたい気持ちになる。

そして世間の大多数の人が被害者に同情を寄せて加害者を糾弾する状況を目にすると、それが人として真っ当な姿勢であるにも関わらず、僕は正論だけでこの社会から簡単に加害者たちを切り捨ててしまう世間の薄情さに、いくらか苛立ちを覚えたりもする。

僕は常にこの世には純粋な被害者も加害者もいなくて、意識的にしろ無意識的にしろ、みんな何らかの形で悪に手を染め、犯罪に荷担していると思っている。

個々の小さな悪意が巡りめぐって、次第にどんどん膨らみながら誰かのところで暴発する。

それは例えればトランプのババ抜きみたいなもので、酒鬼薔薇(元少年A)市橋達也はその暴発寸前のババ(大きな悪意)を引いてしまったがゆえに、人を殺めるという悲惨な事件を起こさなくてはいけなくなってしまったのではないか?

そう思うのだ。

その役回りは別に僕でも良かったし、もっと言えば他の誰でも良かった。

深い闇を抱えている人がそのババを引きやすいというだけの事で、僕は運良くたまたまこれまで一度もそのババを引かずに済んだだけなのだと思う。

愚痴、陰口、悪口、無視、蔑視、誹謗、中傷、無関心、無神経、横柄、傲慢など、自分が加害者になって誰かにババを引かせている例を挙げればキリがない。

僕らがこの現実世界を生きるうえで否応なく繰り出している一挙手一投足が、未来の誰かの犯罪を誘発し、実行に移す後押しをしている可能性があると思うのだ。

だから僕は犯罪者たちの手記を読み、彼らが抱えている心の闇を疑似体験することで、僕自身がそのババを引かないように、巡り巡ってきた悪意が暴発する限界値みたいなものを量ろうとしているのかもしれない。

彼らに寄り添って彼らの主張を聞き、彼らの罪を許さないと、この社会には共犯者、または犯罪者予備軍である僕の身の置き所もない。

僕はいつもそんな気持ちで、なるべく人に迷惑をかけないよう、かなり慎重に生きている。

可能な限り自己をコントロールして、小さな悪意の芽吹きを見逃さず、大きくなる前に防ぐ努力をしている。







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