オカルト・スピリチュアル 芸術

アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』日常への回帰

投稿日:2018-06-14 更新日:

あらすじ

「ただの人間には興味ありません。宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上!」
入学早々、ぶっとんだ挨拶をかました涼宮ハルヒ。退屈な日常にあきたらない彼女は、「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」通称SOS団なる不思議軍団を結成したのだ。
そんな彼女に巻き込まれたのが、クラスメイトのキョン、無口な読書少女・長門有希、萌え担当の朝比奈みくる、謎の転校生・古泉一樹。だが、キョン以外の3人には、ハルヒには言えない秘密があるようで……。
天上天下唯我独尊超ポジティブワガママ娘のハルヒに振り回されるキョンとSOS団が繰り広げる、ビミョーに非日常学園ストーリー!

原作:谷川流 監督:石原立也 

キャスト:平野綾,杉田智和

僕は”いわゆる“セカイ系”(個人の悩みや問題が世界とシンクロしている物語ジャンル)に属する哲学的な内容の物語が好きで、機会があればよく観る。

この物語の主人公である涼宮ハルヒ同様、僕もUFO、UMA、幽霊、超能力などの非現実的な物や出来事が好きだ。

そんな非現実的な出来事を切望するあまり日常に退屈してしまっているハルヒを見ると、中高時代の退屈だった自分をそこに重ねて共感してしまう。

ハルヒはいたって普通の男子高生であるキョンと出会い、SOS団と称した変なサークルを結成していろんな活動をしていくが、僕にはそんな友だちがいなかった。

ハルヒが見つけて来たキョン以下のSOS団メンバーには、長門、ミクル、古泉という団員がいて、この三人はいずれも宇宙人、未来人、超能力者といった非現実的な世界に属するクセ者だ。

その事実はキョンだけが知っていて、ハルヒは知らない。

キョンはSOS団での活動中にこの3人を通じて度々奇妙な出来事に遭遇する。

その要因は非現実的な物や出来事にしか興味が持てないハルヒの孤独な内面世界に関係があるようだ。

ハルヒが現実世界の日常に退屈したり失望したりすると、現実世界に閉鎖空間が生じて、世界を崩壊に向かわせるような事態を招く。

SOS団のメンバーである古泉の解釈によると、涼宮ハルヒの物語世界はハルヒの人間原理(物理学、特に宇宙論において、宇宙の構造の理由を人間の存在に求める考え方)によって成立しているのだという。

ハルヒの物語世界では、ハルヒが創造主であり、ハルヒの観測行為が、その世界に影響を与える。

ただ古泉は世界の観測者であり、創造主であるハルヒに対して、唯一影響を与える事が出来る存在がいる事も示唆していて、それがいたって普通の男子高生であるキョンだという。

なぜいたって普通の高校生であるキョンが世界の創造主であるハルヒに影響を与える事が出来るのか?

この物語はキョンの視点を通して語られるハルヒの物語だ。

冒頭のナレーションによると、キョンも元々はハルヒと同様に非現実的な世界の存在を夢見ていた一人だった。

ハルヒにとってはほとんどの人間がいたって普通の存在。

そんな中、唯一キョンだけがかつての自分と同じ願望を持っていた。

キョンはハルヒの孤独で憂鬱な内面世界の唯一の理解者でもあるから、ハルヒの観測行為に介入する事が出来るんだと思う。

その結果キョンは不思議なメンバーと出会い、現実世界に生じた閉鎖空間で宇宙人や化け物に襲われたり、同じ夏休みを延々とループしたりする。

SOS団での活動中に起こる非現実的な出来事はキョンと長門、ミクル、古泉にしか起きず、誰よりも非現実的な体験を望んでいるハルヒ自身には起きない。

その理由を探っていくと、ハルヒの本音が非日常的な世界を期待しているのではなく、夏休みに仲間と一緒に宿題をやったり、文化祭でバンドを組んだりして、ごく普通の日常生活を楽しんだり喜び合ったりする事に価値を見出す事だったからだと思う。

最終話の28話目ではそれを象徴するようにキョンにも他のメンバーにも奇想天外な出来事は何も起こらない。

やけにさっぱりした日常の風景描写が淡々と続き、非現実的世界の住人である長門、ミクル、古泉がいつのまにか下校している。

そして最後に部室に残ったハルヒとキョンが相合傘で二人静かに下校するラストシーンを迎える。

このシーンはハルヒが現実逃避をやめて現実世界の日常を楽しめるようになった成長を物語っているようで、以前ハルヒ同様に日常に退屈していた僕にとってはすごく感慨深いものがあった。

サブカル系に限らず、非現実的な要素を含んだ作品が近年の主流なのか、ハルヒみたいにこの世界のあらゆる問題はすなわちボク、アタシの悩みそのものだ、と思う人が増えた気がする。

今後どんどんこの現実世界が仮想現実世界に浸食されていくような社会システムに移行していく流れになるだろうけど、それがどんな形であれ、僕もキョンみたいにこの虚構のような現実世界を見続けていきたいと思う。







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