【サイコダイブ】
主にサイバーパンクの世界観の作品において、人の精神世界に潜り込む技術、またその行為
人と接している時、たまにふとその人の心のビジョンみたいなものが、新作映画のトレーラーのように飛び込んでくる事がある。
楽しい会話をしていても、その心の映像は妙に暗く湿っていたりして、その理由を考察しているうちに、だんだんその人の生い立ちや育って来た環境などが鮮明に見えて来たりする。
僕はそれによって相手との適正な距離を測る。
このサイコダイブのような能力は、出逢った人との今後の付き合い方とか関係性を決めるのにすごく役に立つ。
もちろんトラブルになる時もあるけど、このサイコダイブ能力のおかげで、それすらも初めからある程度想定する事が出来る。
対処法さえ間違えなければ、僕自身がそのトラブルで精神的な被害を受ける事はない。
僕はHSPやエンパスと呼ばれる気質(良い気と悪い気、双方を感じやすい気質)があり、なおかつ小学校時代にイジメを体験している。
おそらくこのサイコダイブ能力はそのトラウマから来る対人恐怖症を避けるために、これまでの人生経験の中で無意識的に体得したものだと思う。
初めは人の精神世界の映像の解像度があまり良くなくて、当たり外れが多かったりしたけど、小説を読むようになってから、だんだんその解像度が上がって来たように思う。
小説は人の心や精神世界を言葉の表現を使って豊かに物語る芸術分野だから、言葉で表現された物語を自分の頭の中にイメージして再現する事で、目には見えない人の心に対する想像力とか共感能力を養う事が出来るのだろう。
逆に既に出来上がった画を見せられる他のメディアでは、自分の想像力を使う事がないので、その画によって記号化された人間像や出来事を刷り込まれてしまう。
その物語と似たような記号を示す人間や出来事に出くわすと、その記号から読み取れる情報をその人に当てはめてしまうようになる。
僕は初対面の人でも、会って間もない段階から意識的にその人の精神世界の映像を読み取る努力をしている。
サイコダイブ能力を使って、その人が僕にとって敵になる人か味方になる人かを早めに判断するようにしているのだ。
相手の精神世界を知り、親近感や同情を抱いた人に対しては温和に、嫌悪感を抱いた人には、無関心や冷たい態度をあえて取ったりする。
嫌悪感を抱いた人でも仕事などの理由で今後も関係性が続きそうであれば、なるべく敵対しないように接するけど、会話の内容は仕事の話だけと割り切る。
それ以外の話はほとんどせず、終始受け身の姿勢で必要以上に相手に興味を持たない。
だから普段はドライとかクールな人だという印象を持たれることが多いけど、自分が付き合っていきたい人たちとそうでない人たちの区別は必要だ。
人の命、人生は有限で、お金、時間、気も有限だ。
だから僕は、僕が親しみを感じる人たちになるべくそれらを使いたい。
嫌悪感を持っている人にまでお金や時間や気を使うのは心底馬鹿らしい。
出会った相手に親近感を抱くか嫌悪感を抱くかは、サイコダイブした映像の内容によるけど、たとえその人の人間性に何か問題があっても、それが理不尽な不幸や悲劇に起因するものであれば、良い関係が築ける努力をする。
ただ恵まれた環境に生まれ育ったにも関わらず、本人の自己責任で人間性が腐ってしまっている人とは距離を置く。
そういう人は差別意識が強かったり、他者に対する偏見を持っていたり、自己批判をせずに、自分優先で他人に責任転嫁する。
無理に関係性を築いても僕にとってプラスになる事はほとんどない。
HSPやエンパスは気を付けないと、他人にエネルギーを奪われてすぐに疲れてしまう。
日本人に多い気質みたいだけど、同じ民族同士であれば、僕のように精度の高い共感能力みたいなもので通じ合うところがあるんだと思う。
文化の違う他の国の人たちにも、このサイコダイブ能力が使えるように、今後も解像度を上げて、どの国の人たちにも使えるようにしたい。