哲学・思想

人間の尊厳を奪われない働き方

投稿日:2019-02-09 更新日:

ビックエコー、くら寿司、すき屋などのバイト店員が起こした不適切行為の動画投稿。

僕が一連の事件のニュースを受けて気付いたのは、バイト店員が不適切行為をした店はいずれも大手チェーンの店であった事だ。

大手チェーンの飲食店でバイト経験がある僕の知り合いも、よくバイト中に似たような不適切行為をしていたと話していた。

衛生管理がしっかりしている店でも人間のミスによる食あたりや食中毒は少なからずある。

でもあえてそんな事態に繋がる不適切行為をして、それをさらにネット上に公開する人たちの動機や目的って何だろう?

僕の知り合いの件も含め、この手の不適切行為はおそらく氷山の一角に過ぎず、客が知らないだけで、わりとどこのチェーン店でも日常茶飯事に起こっていると思う。

これはそういった行為をする店員たちの人間性の問題だけではなく、根本的な原因が他にもある。

個人経営の飲食店と違い、大手チェーンの飲食店の業務はほとんどがマニュアル化されていて、顔の見えない不特定多数の客が毎日来店する。

利益重視で徹底した効率化。

チェーン店で働く人たちは客を選べず、どんな客に対してもマニュアルどおりの調理、接客をしなければならない。

そこに個人の判断、意志、感情が入る余地はほとんどない。

店員たちは働き甲斐を見つけられないまま「お客様は神様です!」と自分を偽り、それでやっと低賃金の給料を得る。

彼らは簡単に人間の尊厳が奪われてしまうような働き方を常に強いられていて、その鬱憤が限界に達した時に、あえて店に不利益になるような不適切行為をして、その鬱憤を晴らしているのかもしれない。

彼らだってそんな動画をネット上に公開すれば、自分が所属する企業にとって重大な問題になることくらいは分かっているだろう。

だから「クビ覚悟でやっている!」と言っているわけだし、多額の賠償請求があっても正直もうどうなってもいいくらい投げ遣りな気持ちで働いていたんだと思う。

これはある意味自爆テロの感覚に近いのかもしれない。

人間としての尊厳を奪われた彼らは、企業にとって大事な客を人質にとり、資本家に立てついている。

これに対して企業側が何らかの法的処置を取って押さえつけるというのであれば、尊厳を奪われて疲弊した労働者たちの鬱憤は水面下で拡大し、より深刻なものになるような気がする。

地球の資源が有限なのに対し、資本主義システムが追いかけ続ける欲望には限りがない。

僕たちは今その臨界点にいて、それが様々な不具合となって僕たちの上に降りかかっている。

その根本的な原因を無視する限り、政府による「働き方改革」もたぶん何の効果もないまま無駄に終わるだろう。

労働者一人一人が個人で、どうすれば人間の尊厳が奪われない働き方が出来るのか?を考えないと不当な労働環境や不毛な労働環境がなくなる事はない。

僕個人の働き方としては、まず自分にとって必要な時間とお金を明確にして、それを軸に仕事を選ぶようにしている。

生きていくのに必要のないプライドや見栄のために使っている時間やお金を減らし、コストパフォーマンスをきちんと見直せば、自分が働きたい条件を優先出来るようになる。

必然的に人間の尊厳が奪われてしまうような働き方を強いられる環境を選ばなくなり、生活のためにやむを得ず選んだとしても、そこから脱出する目途はすぐにたつ。

経営状況が大手チェーンより不安定であっても、僕は飲食で働くなら個人経営の店の方がいいと思っている。

個人経営の方が客の顔がよく見えるし、客が抱える潜在的なニーズにも気付けるからだ。

そしてマニュアルではなく、労働者個人の判断、意志、感情を大事にして客と向き合うことが出来れば、それが働き甲斐になる。

店員が働き甲斐を持って楽しく働いている店は、客にも愛される店になっていると僕は思う。







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