何か損な事や不都合な事が起こった時の対処法として、僕には自分で編み出した『メグル』という奥義のようなものがある。
『メグル』の奥義は特にお金に関する事に力を発揮する。
自分の欲しい物ややりたい事のためにお金を使う場合はいいんだけど、自分の望んでいない物や事のために使う場合や仕方なく誰かのために使う場合、人はそこに「無駄金を使う後悔」という精神的なダメージを負うと思う。
そういう場合にこの『メグル』の奥義を発動すると、その精神的なダメージを軽減する事が出来る。
『メグル』を発動すると、無駄金だと思って自分が手放したお金の行く先をプラス思考で捉える事が出来る。
そのお金がいろんな人の役に立ちながら、巡り廻ってまた自分の元へ帰ってくるイメージを創り出す事が出来るようになるのだ。
なんとなく損した気分になるのは、自分がお金を使った相手や場所だけでそのお金が止まってしまうイメージを持ってしまうからだと思う。
『メグル』のイメージは、お金がいろんな人や場所を旅して、絶えず循環しているイメージだ。
たとえば僕が『メグル』の奥義を使って誰かに奢ったとする。
後輩に奢ったとしたら、そのお金は後輩から彼女へ、彼女から彼女の友達や家族へお金が巡っていくイメージが湧いて来る。
そして絶えず巡っていくお金は常に誰かが誰かを思い遣る温かい行為の連続で、時にどこかで人の命を助けていたりする。
仮にボッタクリや詐欺商法などに遭って失ったお金でも、巡り廻っているうちに、本当にお金に困っている誰かのところへ渡っていくかもしれない。
そう考えると、無駄にお金を失うという精神的なダメージがなくなる。
人を騙してお金儲けをする事は確かに悪い事ではあるけど、僕はそうせざるを得ない理由や動機には、常に切羽詰まった事情があるような気がしていて、それを了承したうえで、いつかどこかでこのお金が誰かのために使われる事を願いながらお金を手放すようにしている。
自分の元を離れたお金がその後にどんな使われ方をするのか実際には知らなくても、無駄なお金なんて1円たりとてないと思う事が出来る。
そのお金は『メグル』の奥義によって、必ずまた僕のところへ戻って来ると信じている。
だから僕はこれまでお金に困った事がない。
今までずっとバイトや派遣の仕事ばかりしているけど、自分に本当に必要な物をきちんと把握しているから、世間が言うほど非正規労働の貧困を感じる事もない。
生活して遊ぶお金もあるし、無駄なお金を使う事がないので「もっと稼がなくてはいけない」という焦りもない。
だから時間的にも人より余裕がある方だと思う。
奪い合うのではなくて、与えて与えられる。
このイメージが現実に作用しているように思えるのが『メグル』の力だ。
想像力を働かせれば『メグル』はお金だけではなく、時間や気の使い方なんかにも応用出来ると思う。