オカルト・スピリチュアル 芸術

アニメ『AKIRA』万能感VS肯定感

投稿日:2019-07-05 更新日:

あらすじ

1988年、関東地区に新型爆弾が使用され、第3次世界大戦が勃発した――。2019年、ネオ東京。金田をリーダーとするバイクの一団は進入禁止の高速道を疾走していた。しかし、先頭にいた島鉄雄は突然視界に入った奇妙な小男をよけきれずに転倒、負傷する。小男と鉄雄は直ちに現れたアーミーのヘリに収容され飛び去ってしまった。翌日、鉄雄を捜す金田は、少女ケイと出会う。彼女は反政府ゲリラの一員で“アキラ”という存在を追っていた。その頃、鉄雄はアーミーのラボで強力なクスリを連続投与され、不思議な力を覚醒し始めていた…。

監督:大友克洋

キャスト:岩田光央,佐々木望,小山茉美

僕は小学校を卒業してからアニメをあまり観なくなった。

たぶん映画や小説を楽しむ機会の方が多くなったからだと思う。

ずっと好きで観続けているのは『AKIRA』とジブリのアニメくらいで、たまに人に勧められて他のアニメも観たりする。

でも『AKIRA』とジブリアニメを越えるような作品はなかった。

次点で面白かったアニメは涼宮ハルヒまどマギくらいだ。

『AKIRA』は小学校の時、正月のお昼くらいにテレビ放送していたのをたまたま観たのが最初だった。

面白い!」という評判は前から聞いていたけど、劇場公開の時に『AKIRA』を観に行った従兄の感想がわかりづらく、イマイチ面白さが伝わって来なかったので興味が持てなかった。

でもテレビ放送の『AKIRA』を一度観てからどっぷりハマり、それからもっと内容を深掘りしたくて漫画も全巻買って読んだ。

壮大なストーリーはもちろん、サイバーパンクの終末的世界観を持ったネオ東京の緻密な描写と映像表現。

とにかく衝撃的で、僕がそれまで観ていたテレビアニメが紙芝居に思えるくらい、既存のアニメ表現を何段階も飛び級した化け物みたいな作品だと思った。

『AKIRA』以降のアニメに関しても、『AKIRA』ほど革新的な事をやってのけたアニメって他にないと思う。

どうやったらこんな凄い作品を作る事が出来るんだろう?

僕も創作をする身として、『AKIRA』のようなモンスターアニメを生み出す大友克洋さんの創造性の秘密は是が非でも知りたい。

『AKIRA』や大友さんの特集を組んでいる雑誌や書籍などを見つけたら、いつもチェックする。

そして読み込んでいくうちに、僕は大友さんの、好きな物や興味のある事をとことん突き詰める直向きさとか情熱に圧倒される事になる。

大友さんの卓越した技術や天才的センスはある日突然湧いたものではなく、情熱と月日をかけてコツコツと蓄積してきた知識と経験の賜物だ。

その過程を経ずには決して誰にも真似する事が出来ない不滅の作品。

そしてそのメッセージ性は『AKIRA』という作品のストーリー自体からも感じ取れる。

物語の序盤、哲雄はバイク事故でタカシと接触した事をきっかけに宇宙を誕生させるほどの万能な力を手に入れる。

ラボの中でその万能な力が持つ無限の可能性に気付いた哲雄は、コンプレックスが強くてナイーブだった精神を破壊衝動に変え、ネオ東京を混乱させる。

しかし次第に哲雄のコンロールを離れて暴走した力が、ネオ東京と共に哲雄自身の身も滅ぼしていく。

一方哲雄の親友であり、チームのリーダー的存在でもあった金田は、持ち前の身体能力や度胸を武器に、等身大の自分のままで超人・哲雄と対峙する。

超人・哲雄の万能な力を前にしても、金田はまったく怯まない。

金田より圧倒的な力を手にしたはずなのに、哲雄と金田の力関係は、小さい頃に出会った時のまま何も変わらなかった。

金田がクラウン追跡の前に、自分のバイクをいじくっている哲雄に向かって言う「欲しけりゃお前もデカいの分捕りな」のセリフ。

このセリフが当時哲雄同様にいじめられっ子で弱かった小学生の僕にも響いた。

そんな二人を見ていて、僕は自分と似た哲雄にシンパシーを感じつつも、憧れるのはやっぱり金田だな、といつも思っていた。

僕にも哲雄やアキラのような万能な力があればいいのにな、とは思う。

でも本当に欲しいのは、努力次第でどんな事でも出来ると信じている金田のような自信と揺るぎない自己肯定感だ。

凡人が努力する事なしに、ある日ふと降って湧いたような力やお金を得ても、結局は欲望に翻弄され、自分の身を滅ぼす結果になるのだ。

『AKIRA』はその事に気付かせてくれる。

『AKIRA』は絶対に越えられない壁として、ずっと僕の創作意欲を掻き立て続ける最高のアニメ作品だ。







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