哲学・思想 芸術

映画『ショーシャンクの空に』心の在り処

投稿日:2019-07-14 更新日:

あらすじ

妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。初めは戸惑っていたが、やがて彼は自ら持つ不思議な魅力ですさんだ受刑者達の心を掴んでゆく。そして20年の歳月が流れた時、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかむのだが……。

監督:フランク・ダラボン

キャスト:ティム・ロビンス,モーガン・フリーマン

言わずと知れたスティーブン・キング原作の感動大作。

僕はこれまでこの手の作品を積極的に観て来なかった。

人間の本質的な部分を描いている映画は多くの人の心を捉えて感動させる。

僕は自分自身の体験を通して人間の本質に気付きたいという思いがあるので、有無を言わせない感動大作オーラを放つ『ショーシャンクの空に』はあえて観ないようにしていた。

この映画は無実の罪でショーシャンク刑務所に来た男が、希望を忘れず苦難を乗り越え、その姿が仲間の囚人や観る者の心にも希望を与える物語だ。

自ら進んで檻に捉われる者と、捉われていない者の明暗をくっきりと描く。

妻と不倫相手を殺した容疑で逮捕されたアンディは、その身をショーシャンク刑務所に投獄される。

でも彼は無実なので心までは閉じ込められる事がなく、常にショーシャンクの檻の外側、空にあった。

他の囚人たちには罪の意識があるからその身は当然、その心までも自らショーシャンクの檻に閉じ込めている。

レッドは自分たちが自ら進んで檻の中にいる事を誰よりも感じていた。

だからアンディが自分たちとは違う人間である事にすぐに気付き、50年近くも収監されているブルックスの心情と彼が迎える結末に関しても理解していた。

レッドがアンディに採掘用ハンマーの調達を依頼された時、レッドはアンディに「もしそのハンマーで脱走するつもりなら、この壁を掘るのに600年はかかる」と皮肉を込めた忠告をする。

でもアンディはそれを意に介さず、実際には20年で壁を掘り、460メートルの臭い下水道を這いずって外に出た。

アンディの心は常にショーシャンクの空にあるから、たとえ600年が事実でも決行する。

心が自由な人間は自分に限界を設けない。

たとえ下水道が460キロメートルでも決行する。

しかし自ら自分の心を檻に閉じ込めてしまった人間は自分に限界を設け、その不自由さを強く意識する。

檻を出たら生きていけない

親友であるアンディを失いたくない

レッドが言った600年にはそんな気持ちが隠れているように思えた。

だからアンディはレッドたちが冗談のつもりで言った「俺たちも無罪でこの刑務所にいる」という言葉を信じて、彼らの心を檻から解放しようとした。

この映画を観た人もアンディの考え方や行動を見ているうちに、自分たちの“檻”を意識し、その檻が自分のあらゆる可能性の妨げになっていたり、諦めや限界を感じさせている事に気付く。

僕たちは自由の身であるのに、心は常に何かに捉われ、不自由だ。

人間は誰しも人間のそういった本質を理解してはいるものの、不都合な現実を目の前にして怖くなり、目を瞑ったり、忘れたりしている。

心がはじめから檻にない人にとっては当然な考えや行為でも、多くの人にとっては不可能に近く、それを認めて実行するには、絞り出すような勇気と忍耐が必要だ。

アンディのように振る舞える人は滅多にいない。

だからこの物語はレッド(自分から檻に入った人間)の視点から見たアンディを描くことで、多くの人を感動させることが出来た。

アンディに近い感覚の人はこの映画を観ても感動しない気がする。

この映画を観て感動した人はまだ心が檻の中にいる。

この映画を観て僕の心もまだまだ自分の檻の中にいる事をはっきり意識した。

そして僕は人との出会いがその檻を抜け出す鍵になる事も知った。

人付き合いは相変わらず苦手だ。

でも怖いながらもそこに踏み出していく価値はあると思う。







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