芸術

MOGA THE ¥5

投稿日:2021-03-10 更新日:

よく聴いていたのは20代前半。
希死念慮がひどい夜にいつも鳴らしていた。

何が為にこんなに不安なんでしょうか?

2rdアルバムの『未完全論』がそう言うように、突発的に襲って来る不安はいつも曖昧で、眠りについた朝方には何故か治まっている。
将来画家になる!
専門学校までのモラトリアム期間が終わってバイト生活が始まった途端、その意気込みが急に萎んでいって、キャンバスに向かう絵筆は止まらなかったけど、現実味はまったくなかった。
学生時代の時は確かにあった根拠のない自信はどこに消えたんだろう?
根拠がないから本当は初めからなかったのだろうか?
モガザファイブエンの楽曲にシンパシーを感じる人はたぶん疲れているか、病んでいる。
その歌声は粗く、お世辞にも上手いとは言えない。
ライヴの音源なんかは更にひどい。
それでも歌はなくてはいけない理由があるから、歌う。
不安や憤りを吐き出すために、当てもなく意地になって歌っている。
そんなバンドのような気が当時した。

思い込んでる役立たずな知識。
背負い込んだ不可能だらけの意志
眠い話をまた背負ってるだけ。
同じ世界で泳ぐ君にだけ聴こえるんだ

すごく良い歌詞。

このバンドが広く世の中に認知されて売れたら、どんな音楽を彼らは創るんだろう?
自分の将来性を棚に上げて、そんな事を案じながら聴いていた。
売れる前に自ら終わるかもしれない。
エモーショナルなバンドには、そんな賞味期限があると思っている。
演る方も聴く方も「いつまでこのまま行けるんだろう?」みたいな危うさを常に感じていたような気がする。

売れるのか? 終わるのか?

どちらかの結果が出るまでの間しか成立しない楽曲。
だから紅白に出て平成を代表する歌とかには絶対にならない。
普遍的ではない一過性の曲たち。
一時の忌々しい気の迷いみたいなものを、一時激しく演奏する。
出会うタイミングによっては聴いていなかったかもしれない。
モガザファイブエンは特にそんな感じのバンドだった。
でも希死念慮が酷かった僕には絶対必要だったと思う。

【特に好きな3曲】「欲情に噎ぶ」「夕空のエレジー」「正しい言い訳」







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