芸術

マンガ『キーチ』世直しを問う

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あらすじ

キーチは、「ますみ幼稚園」に通う3歳の男の子。まるで台風のような暴れん坊で、いつも幼稚園では周りに迷惑のかけっぱなし。ある日、ママが目を離した間に、キーチが行方不明になってしまう。

原作:新井英樹

キーチはアジテートの天才だ。
真っ当に生きろ!
漫画とはいえ、そんなメッセージを訴えるキーチに怖いくらいに感化される自分がいて、終始興奮していた。
僕も一人で愚直に世の中に言いたい事をブログに書こうと思い、また精力的に書き始めた次第で、人並みの幸福を得ようとしていた自分が馬鹿らしくも思えた。
生まれる日を間違えなければ将来凄い男になる事が運命づけられたキーチ。
小さい頃に目の前で両親が通り魔に殺される。
ホームレスとの共同生活、単独の山籠り。
キーチはそういう運命的で、悲劇を内包した生い立ちを経て世に出た、破天荒な孤高のカリスマ。
キーチは言葉を選ばず、思っている事をストレートに、矛盾も含めて嘘偽りなく、国家と民衆に対して声高に叫ぶ。
綺麗事の理想論だと揶揄されても気にしない。
誰を相手にしてもひるがないし屈しない。
自分の感情にいつも忠実で、嫌なものは嫌、ダメなものはダメ、無理なものは無理と言い切ってしまう。
そんなキーチをヒーロー視して、彼と共に世直しをしようと、彼の下に人が集まって来る。
キーチは彼らの支援を受けて児童買春に苦しむ同級生を助けるため、銃を持って国会前を占拠する。
その後意識不明の恩人を奇跡的に目覚めさせたキーチは、更なる世直しを目的に、成人してNPO法人キーチズ・カンパニーを設立する。
キーチの理想は、相棒や仲間たちが現実に照らして実現させていく。
救世主なのか?
それとも独裁者なのか?
そして狂牛病の食肉偽造を告発した社長を援護して国家の闇に切り込んだキーチは、行く末に総理大臣の座を視野に入れていた仲間の野望を蹴って、テロ組織と手を組み、革命闘争の道へ踏み出す。
敵は国家と国民。
機能していない民主主義そのものを憎むようなキーチの行動原理は、とにかく自分が弱い存在、醜い存在になってしまう事をよしとしない事。
目の前に困っている人がいれば何かしようとする。
そして何かするよう、他者にも促す。
傍観を許さない。
何も出来なければ自分は弱くて醜い存在だ。
何も出来なければ他者も弱くて醜い存在だ。
日本人全員がそれを認めて、とっととこの国を変えろ!
それが嫌なら滅べばいい!
暴論のようだけど、キーチは誰の耳にも痛い正論を一貫して主張し続ける。
そして子供らしい事を何一つして来なかったキーチが最後に見せる人間味に感動する。
圧巻の読み応え。
僕も世の中を変えたいって思った事があるし、僕以外の多くの人も思った事があるはず。
でもどこまで本気でそう思っていたか?
キーチを読むと必ずそれを問われる。







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