オカルト・スピリチュアル

オカルト原風景 『オカルト県オカルト郡オカルト町』

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僕の故郷は東北地方の山間部で、銀が取れる鉱山と宿場町から発展した迷信深い土地柄だ。

町の入り口にあたる峠を抜けると、非常に美しい風変わりな盆地が広がり、その周囲を雄大な雪山の山脈が囲んでいる。

町の中央付近には杉に覆われたピラミッド形の山が3つ並んでいて、英国作家のイザベラバード女史が僕の故郷を訪れた時、その風景を見て「ロマンチックな雰囲気の場所」と『日本奥地紀行』に記した。

僕はそのロマンチックな雰囲気の場所で三人兄妹の次男として生まれ、上に兄、下に妹がいる。

実家は小さな食堂だけど、父親と母親の本家は蔵のある屋敷で、母方の本家は客間に般若のお面が飾ってあったり、父方の本家の蔵の奧には“屋敷ヘビ”と呼ばれる大きな蛇が住んでいたりした。

その蛇は屋敷にずっと住み着いている主で、その蛇が屋敷からいなくなると家が没落すると、祖父が言っていた。

冬は蔵から屋敷の池にある樽の中に移動して冬眠するらしい。

僕の兄だけ小さい頃に蔵の中でその屋敷ヘビを見たと言っていた。

今もいるのかどうかわからないけど、祖父の屋敷は建物だけ残して没落しているような状態だから、もういなくなっているかもしれない。

本家の屋敷だけでなく、古い建物には何かしら得体の知れないものが住んでいそうな雰囲気があって、僕の母親も地元のお寺を改装した時、寺の下から大きな蛇が現れて、お寺の山門の柱に巻きついているのを見たと言っていた。

地元のA地区には「竜馬山」と呼ばれる断崖絶壁の小高い山があり、祖母の話によると、そこは僕の家の守り神にあたる場所らしい。

偶然か必然なのかはわからないけど、兄は辰年生まれで、名前に竜の字が入っている。

僕は午年に生まれて、名前に馬の字が入っている。

二人合わせたら「竜馬」。

昔、大雨が降って川が氾濫すると、竜馬山から竜馬が流れて来て、その竜馬が天に登ると、雨が止み、空が晴れた。

地元にはそういう伝説がある。

僕の祖母は若い頃、大雨で氾濫した川で実際にその竜馬の姿を見た事があるという。

竜馬は頭が竜で体が馬。

中国の伝説的な生き物である「麒麟」によく似ている。

竜馬山には天然記念物のカモシカが棲息していて、昔の人はそのカモシカの事を「竜馬」と呼んでいたんじゃないかな?と僕は思っている。

カモシカは滅多に見る事が出来ないけど、竜馬山の崖の岩肌をピョンピョン跳び跳ねて移動する、角の生えた白い山羊のような動物を僕も何度か見た。

僕の田舎にはそういうオカルトっぽいものが身近に溢れていて、神様、仏様、妖怪、幽霊などの存在を当たり前のように了承している原風景の中で育ったから、どれだけ科学が発展しても“見えない存在”に対する親しみが今も常にある。

もちろん見た事はないけど、いた方が絶対に面白いと思っている。

だからいつか出会いたい。

いろんな証拠を突きつけてオカルト的なものを完全否定したら、それが叶わない気がするから、不思議なものを見つけたら、その真相を探りつつ、核心的な部分は曖昧なままにして残しておく。

あれは何だろう?

真相は藪の中。

真相を知った途端にロマンがなくなって白けるのがとにかく嫌だから、オカルトやスピリチュアル的なものとは、いつもそんな感じで付き合って来た。

今後も『オカルト原風景』と題して、僕が地元で見聞きした不思議な出来事を思い出せるだけ書いてみようと思う。







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