エッセイ

大阪、夜散歩

投稿日:2021-06-15 更新日:

夜はいつも寂しくて感傷的になる。
僕は夜型人間ではないので、お日様が上っている日中しか幸福を感じる事が出来ない。
平日は仕事で疲れているから早く寝る。
でも週末の夜は仕事からの解放感もあるから、どこかへ行きたくなる。
ただどこへ行っても、酒がないと感傷が付きまとうから厄介だ。
結局酒を求めて、酔えばある程度は愉快になるけど、どこか酔い切れずに褪めている自分もいて、とにかく眠くなるまで酒を飲む。
次の日は当然ひどい二日酔い。
もうかなり前から背中と肩と首回りが硬く、重苦しい痛みのようなものがある。
なんとなくこの状態を放ったらかして飲酒を続けたら死に至るヤツだな、っていう予感があって、怖い。
まだ死にたくないから、なるべくお酒を飲まずに、もっと素直に夜の感傷と向き合えるようになりたい。
先週の土曜日、とりあえず道頓堀の部屋を出て、缶チューハイを飲みながら、夜の大阪の街をぶらぶら散歩した。
僕はセンスがないから、たまに当てもなく夜の世界をさ迷って、そこで出会う感傷的な人や景色を言葉にしたり、写真を撮ってストックしておく。
ふと目についた千日前の商店街に横たわるホームレス。
耳にイヤホンをして、iPodか何かで音楽を聴いている。
世間から取り残されているような人がどんな音楽を聴いているんだろう?
すごく気になる。
ラジオかな?
昭和の歌謡曲かな?
でももし拾ったiPodだったら、以前の持ち主が選曲した音楽をただ聴いているのかもしれない。
自分の趣味とは合わない音楽ばかりだったら面白いな、と思った。
それから難波の駅を通り、オタロードに向かって歩いた。
緊急事態宣言の時短営業が過ぎた時間帯のオタロードは異様に暗く、人気もほとんどない。
客なのか、恋人なのか、コインパーキングの隅でイチャついてるメイドがいた。
大阪に来てコンカフェへ行くようになってから、オタクの人も意外と肉食系だよな、って思うようになった。
草食系と陰キャが強いお酒をガンガン飲んで積極的に交流する恋愛市場がオタクの人たちにもあって、パリピとは違う領域でヨロシクやっている感じ。
街頭にたった一人でぽつんと立っている、ヘアキャップとスカートを履いたビラ配りのメイドがマッチ売りの少女に見えた。
遠巻きに素通りして、頼りない明かりが照らす細い路地を何枚か写真に収めた。
シャッターが降りたアーケードを潜って進路は大国町へ。
コンビニに寄って缶チューハイをもう一本買った。浮かれた週末でも異国のコンビニ店員は真面目に働いていて、目が輝いている。
缶チューハイ2本でも身体が悲鳴を上げる。
孤独と真剣に向き合わない罰なんだろう。
そもそも人間は夜行性の生き物ではないから、夜に感傷的になるのは当たり前だと思う。でもそれを受け入れるのが嫌だからつい酔ってしまう。
身体は本当に素直だから、そろそろちゃんと言う事を聞かないと先がない。
通天閣まで行って折り返そうと思った。
活気のない新世界は、人類滅亡後の荒廃した気配のようなものが漂っていて、生き残ったアウトローたちがエネルギーを持て余して暴走していた。
お天道様が見てるから昼は走れないアウトロー。
お天道様が見ていない夜しか走れないアウトロー。
通りゃんせ、通りゃんせ、ここはどこの細道じゃ?
いつもと違うルートで引き返したら知らない道に迷い込んだ。
高架下を通り、道の奥に見えた石垣が気になったので、そこまで足を運んでみた。
夜の神社だった。
入口の柵はもう閉じていて中には入れないから周囲を回ってみる事にした。
近所の家にやたらと猫がいた。
女の人が道端に一人で座っていて、その猫たちを愛でている。
猫たちは猫たちで女の人の寂しさに寄り添っているのかもしれない。
当てもなくさ迷って、こういう風景に出逢うと、そろそろ家に帰ろうかな、って思う。
案の定、道の先は行き止まりで、バリケードが張ってあった。
散歩の終点は猫を愛でる女の人の哀愁だ。
写真撮ったらすごく良い画になると思うけど、本当に良いなと思ったものほど遠慮して撮れない。
本当に良いと思ったものは撮ってはいけない気がする。
でも悔しいから網膜に焼き付けて、絵か?詩か?物語にしていつか再現しようと思う。

歩き疲れたので、おやすみなさい。

Dionysusnight pantograph☆







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