エッセイ

スギザのバアちゃん

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見捨てられ不安がひどくなって来たのでSNSのアプリをアンインストールした。

自ら人との繋がりを立って、他人に依存しない生き方を再構築するつもりだったんだけど、強烈な孤独が襲って来て眠れなくなってしまった。

部屋を暗くするとパニックで呼吸が浅くなって息苦しい感じがするから、明かりをつけたまま動画を観たり、本を読んだりした。

独りでこの先どうするんだ?

そんな事を考えていたら、小さい頃、僕の実家の食堂にたまに来ていたバアちゃんの事を急に思い出した。

スギザのバアちゃん。

“スギザ”は「杉沢」という地名が訛った呼び方で、人里から離れた限界集落のような地区。

スギザのバアちゃんはそこに独りで住んでいる。

杉沢地区にはお店なんかないから、町の方まで買い出しに来た時に、僕の実家の食堂に寄っていく。

スギザのバアちゃんは僕の妹がお気に入りで、うちに来るたび可愛がろうとしてくれるんだけど、妹はスギザのバアちゃんが来ると怖がって家の中に隠れる。

あんまり可愛いから、バアちゃんの家さ来い

冗談半分で笑いながら言うスギザのバアちゃんの言葉を真に受けて、妹は本気で連れ去られると思っていた。

スギザのバアちゃんは妹が怖がれば怖がるほど面白がって「バアちゃんの家さ来い、バアちゃんの家さ来い」としつこく言った。

僕はその時、山の中にぽつんと建つ一軒家にずっと独りで住んでいるスギザのバアちゃんの圧倒的な孤独を想像しながら、まんざら冗談でもなく妹を家に連れていきたいんだろうな、と思った。

妹が泣き出すと、スギザのバアちゃんは「じゃあ、そろそろバス来るから」と帰っていく。

その小さくて丸い後ろ姿がすごく寂しそうだった。

老人がたった独りで山の中。

それに比べてたら都会の独り暮らしなんかなんて事ない。

こうやってスギザのバアちゃんの事を思い出して書いているうちに、もうだいぶ落ち着いて来た。

ようやく寝れそう。

とにかく夜だけだ。

夜を乗り越えたら大丈夫。







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