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映画『存在のない子供たち』僕を生んだ罪の行く末

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あらすじ

12歳のゼインは、中東のスラムで両親とたくさんの兄弟姉妹と住んでいるが、親が彼の出生届を出さなかったため身分証明書を持っていなかった。彼は11歳の妹と仲が良かったが、知人の年上の男性と無理やり結婚させられてしまう。怒ったゼインは、家を飛び出して職を探そうとするが、身分証明書がないため仕事ができなかった。

監督:ナディーン・ラバキー

キャスト:ゼイン・アル・ラフィーア

人間が努力出来るかどうかは遺伝で決まっている。

どんな才能があるかも遺伝で決まっている。

育つ環境も自分で選べない。

だから成功出来るかどうかは、自分が生まれ持って来た遺伝子情報が、自分が生まれた時代の社会にうまくマッチするかどうかで決まる。

つまりは運次第。

努力が出来る成功者は、自分が努力して来たから、成功するかどうかは当然努力次第だと思っている。

そして他人にも「成功したかったら努力しろ」と言いたがる。

それにつられて成功したい人たちが奮起し、自分の遺伝子情報に合わない努力と才能を発揮しようとして四苦八苦する。

成功すれば文句はない。

でも成功しなければ、「努力すれば成功する」と言った人たちに責任を押しつけ、「アイツは嘘つきだ」と糾弾して株を下げる。

世の中には努力しなくても成功する人がいるし、成功しなくても満足に生きている人がいる。

大事なのは自分が努力出来るものと、自分が持っている才能の見極め。

そして成功するために適した環境にいるかどうかをきちんと把握する事だと思う。

努力も才能も環境も、生まれて来た時の運次第であれば、チャンスは平等に与えられていても、結果は不平等になる。

夢はあった方が人生が充実すると思うけど、夢に執着し過ぎると人生は辛くなる。

夢を諦めた先にもより良い人生が待っている場合もある。

ただこの映画の主人公ゼインはあまりにも運が悪すぎた。

ゼインの人生はシリアの難民としてベイルートのスラム街からスタートし、愛情も教育も満足に受けられない過酷な条件下の中で生きていかなければならない。

自分の誕生日も覚えてなくて、自分が今いくつなのかもよくわからない。

親もゼインの誕生日を知らないような家庭で育っている。

おそらく12歳くらいのゼインの顔はいつも険しくて、笑顔を見せる事がほとんどない。

家のために働いて、妹の面倒をみて、その日一日をなんとかやり過ごしているような毎日。

ゼインに限らず、ベイルートのスラム街で生きる人たちの顔は一様に険しい。

その日一日を生きるのが精一杯の状況で、考える事は「お金をどうするか?」「食べ物をどうするか?」「この子をどうするか?」「明日どうなるのか?」だけ。

みんな苦労してばかりだから、自分が努力すべきもの、伸ばした方がいい才能に気付く機会がない。

ゼインは一体どうなるんだろう?

遠い異国の不幸な物語だからか、邦画ほど過度な同情を交えずに映画を鑑賞していた。

ただずっとゼインの行く末を見守る感じ。

ニュースを見ていても思うけど、異国の不幸はただ見守るしかない。

むしろこんな過酷な環境で、子供の力だけで生きようとする姿が逞しいと思った。

この映画は幸福を諦めても、生存する事は諦めていないゼインに対する生命賛歌だと思う。

親に自分を生んだ罪を問いたい

法廷で自分を幸福にしなかった親への恨みと不信を語るゼイン。

親もゼインに「こんな事になるなら結婚するんじゃなかった」と、自分の境遇を嘆いた言葉を投げ返す。

この親子一体どうなるんだろう?

他の国に移住するという選択肢もある。

でもその実現すら難しい状況だ。

行った先で必ず幸福になれるとも限らない。

ゼインはそんな自分に無力感を覚えていて、「自分なんか生まれない方がよかった」と自分自身をも責めている。

でも家族や他の人にとって、利他的であろうとするゼインの存在は大きかったはずだ。

映画の最後にゼインが見せた笑顔の力も大きい。

中東情勢は依然として過酷で見通しが暗いから、ゼインの笑顔の先に何が待っているのかすごく気になる。

遠い異国の不幸に触れて、自分の幸福を実感するのは厭らしい事かもしれないけど、コロナ禍でも日本はまだまだ安全で豊かな事にとりあえずホッとしている。

いつも読んでくれてありがとう。

存在のない子供たち公式サイト







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